こんにちは。放射線などについて分かりやすく解説している大地(だいち)です。
今日は、
・放射線については、色々な単位があって複雑で分かりにくいので、その違いを知りたい。
こう言った疑問に答えます。
本記事の内容
- 知っておくべき放射線に関する3つの単位
- 色々ある放射線に関する単位
- 最低知っておきたい単位について詳しく説明します。
- 放射能(の大きさ)を表す単位:ベクレルとは
- 吸収線量を表す単位:グレイとは
- 被ばく線量を表す単位:シーベルトとは
- まとめ
この記事を書いている私は、2011年の福島第一原子力発電所の事故の後、除染や中間貯蔵施設の管理など、継続して放射線の分野での業務に従事してきました。
その間、働きながら大学院に通い(いわゆる社会人ドクター)、放射線の分野で博士号を取得しました。
こういった私が、解説していきます。
知っておくべき放射線に関する3つの単位
まずは、
・放射能:Bq(ベクレル)
・吸収線量:Gy(グレイ)
・被ばく線量:Sv(シーベルト)
について理解して、それ以外の単位については必要に応じて勉強していけば良いかと思います。
色々ある放射線に関する単位
ちなみに、この他にはどんな単位があるのでしょうか。
例えば、
・照射線量:R(レントゲン)
・放射能:Ci(キュリー)
・吸収線量:rad(ラド)
・被ばく線量:rem(レム)
などがあります。
ただし、現在では
・放射能については、Ci(キュリー)ではなく、Bq(ベクレル)
・吸収線量:rad(ラド)ではなく、Gy(グレイ)
・被ばく線量:rem(レム)ではなく、Sv(シーベルト)
が主に使われています。
最低知っておきたい単位について詳しく説明します。
それでは、「知っておくべき放射線に関する3つの単位」に示した単位について、それぞれ詳しく説明したいと思います。
放射能(の大きさ)を表す単位:ベクレルとは
放射能とは、こちらの記事でも解説したように、ボクシングで例えると、ボクサーのパンチを出す能力(の大きさ)に相当します。
ベクレルとは、その放射能の大きさを表す単位で、具体的には、単位時間(普通1秒間)あたりの原子核の壊変の数で表されます。
つまり、1秒間に1つの放射性物質の原子核が1回壊変する場合、その放射能は1ベクレルとなります。
原子核の壊変とは、放射性物質が放射線を放出して、より安定な状態になる現象のことです。
なお、この単位の名前は、放射線を発見したフランスの物理学者、アントワーヌ・アンリ・ベクレルに由来します。
ちなみに、「放射性物質」「放射能」「放射線」の違いについて勉強されたい方についても、こちらの記事をご覧ください。
吸収線量を表す単位:グレイとは
吸収線量とは、ボクシングで例えると、パンチをもらった側が受けるエネルギーの大きさに相当します(暴力はダメですよ!)。
グレイとは、その吸収線量の大きさを表す単位で、放射線を被ばくした側が受けるエネルギーの大きさで表現されます。
具体的には、単位質量(普通1グラム)あたりに吸収されたエネルギー(J:ジュール)で表されます。
ちなみに、この単位の名前は、イギリスの物理学者、ルイス・ハロルド・グレイに由来します。
被ばく線量を表す単位:シーベルトとは
被ばく線量とは、ボクシングで例えると、パンチをもらった側のダメージの大きさに相当します。
シーベルトとは、被ばく線量、つまり、実際に被ばくした人が受ける影響の大きさを表す単位です。
例えば、実効線量(被ばくにより全身が受ける影響の程度を表す量)は、具体的には、吸収線量を元に、被ばくした放射線の種類や、被ばくした臓器の種類ごとに与えられた係数を掛けることで求められます。
ちなみに、この単位の名前は、スウェーデンの物理学者、ロルフ・マキシミリアン・シーベルトに由来します。
なお、この被ばく線量を表す単位であるシーベルトは、似ていますが、以下のような少しずつ異なる様々な意味を持っています。
・実効線量
・預託実効線量
・等価線量
・周辺線量当量
・個人線量当量
これらの違いについては、こちらの記事をご参照ください。
まとめ
放射線に関してまず知っておくべき単位として、
・放射能(単位時間あたりの原子核の壊変の数):Bq(ベクレル)
・吸収線量(単位質量あたりに被ばくした側が吸収したエネルギー):Gy(グレイ)
・被ばく線量(被ばくした側が受ける影響の程度):Sv(シーベルト)
について理解し、それ以外の単位については必要に応じて勉強していけば良いかと思います。
ちなみに、以上とほぼ同じ内容を動画にもまとめてみましたので、よろしければご覧ください。
日本語版
英語版
本記事の英語版はこちらからご覧いただけます。
今回は以上となります。
ご覧いただき、ありがとうございました。
コメント
[…] By the way, you can read the same article in Japanese here. […]