(具体的な埋立処分方法について解説)特定廃棄物埋立処分施設について(その2)

除染、特定廃棄物の処理

(写真はイメージ)

こんにちは。放射線などについて分かりやすく解説している大地(だいち)です。

前回の記事では、2つの特定廃棄物埋立処分施設の概要、そして、そのうち、旧フクシマエコテッククリーンセンターについて、埋立処分している廃棄物の種類や、処理工程などをご説明しました。

今回は、その続きとして、旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける特定廃棄物の具体的な埋立方法や浸出水の処理方法について解説したいと思います。

つまり、今回は、

・旧フクシマエコテッククリーンセンターではどのように廃棄物を埋め立てているの?
・旧フクシマエコテッククリーンセンターではどのように浸出水を処理しているの?

こういった疑問に答えます。

○本記事の内容

  1. (具体的な埋立処分方法について解説)特定廃棄物埋立処分施設について(その2)
  2. 旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける廃棄物の埋立方法
  3. 旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける浸出水の処理方法
  4. リプルンふくしま
  5. まとめ

この記事を書いている私は、2011年の福島第一原子力発電所の事故の後、除染や中間貯蔵施設の管理など、継続して放射線の分野での業務に従事してきました。

その間、働きながら大学院に通い(いわゆる社会人ドクター)、放射線の分野で博士号を取得しました。

こういった私が、解説していきます。

(具体的な埋立処分方法について解説)特定廃棄物埋立処分施設について(その2)

今回は、2つある特定廃棄物埋立処分施設のうち、特に旧フクシマエコテッククリーンセンターに着目して、その具体的な廃棄物の埋立方法や、浸出水の処理方法について解説していきたいと思います。

旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける廃棄物の埋立方法


旧フクシマエコテッククリーンセンター(2018年12月撮影)

まず、前回の記事で説明したように、旧フクシマエコテッククリーンセンターには、セメント固型化した廃棄物と、セメント固型化していない廃棄物が埋め立てられますが、上の写真にあるとおり、セメント固型化した廃棄物を上流側の区画に、そして、セメント固型化していない廃棄物を下流側の区画に分けて埋立処分します。

より具体的な埋立方法としては、上の図に示した通りですが、具体的には、放射性セシウムが細かい土壌粒子に吸着しやすい性質を利用して、まず、震災前から埋め立ててあった既存の廃棄物の上に、不透水性の土壌層などを敷設し、万が一容器から放射性セシウムが漏れた場合でも、その放射性セシウムを土壌に吸着させるようにしています(①)。

そして、その上に、特定廃棄物を数段積み上げて埋め立てますが、この際、収納容器を開封せず、容器に封入したまま埋め立て、廃棄物の流出がしにくいような措置を講じています(②)。

そして、何段か、廃棄物を積んだら、再度不透水性の土壌層などを敷設し、更にその上に廃棄物を数段積む、そしてまた不透水性の土壌層などを敷設する、という作業を繰り返していきます(③)。

また、埋立作業を実施していない区画については、常に暫定的に表面をキャッピングシートで覆い、雨水の侵入を抑制することで、雨水と廃棄物との接触を減らし、浸出水処理施設で処理する水の量を低減させています(④)。

さらに、仮に、廃棄物中に含まれる有機物の発酵によって、可燃性のガスが発生した場合でも、ガスを大気中に放出し、処分場内に滞留しないよう、ガス抜き管が設置されています(⑤)。

また、埋立地の全面には二重の遮水シートが敷設してあって、埋立地の外への浸出水の漏出を防いでいます。また、不透水性の土壌層などには勾配が設けられていて、雨水が入った場合、埋立地から外に浸出水が排出されるようになっています(⑥)。

旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける浸出水の処理方法


それでは、埋立地内で発生した浸出水はどのように処理されているのでしょうか。

まず、埋立地から排出された水は、浸出水の調整層に入った後(①)、さらに浸出水の処理施設へと送られます(②)。

ここで凝集、沈殿、ろ過などの処理を行って、有機物や重金属を除去します(③)。

浸出水処理施設で処理された水は、一旦、処理水の貯留槽において貯留されます(④)。

処理水の貯留槽の中の水については、その放射能濃度を測定し(⑤)、基準値以下であることを確認してから、環境中に放流します(⑥)。

万が一、処理水中の放射能濃度が基準値以上だった場合には、ゼオライト吸着塔において、放射性物質を吸着し(⑦)、再度放射能濃度を測定し、基準値を下回っていることを確認してから放流します(⑧)。

リプルンふくしま

なお、特定廃棄物の埋立処分事業に関する内容や安全対策に関する、より詳細な情報については、旧フクシマエコテッククリーンセンターの近くにあって、2018年8月にオープンした、リプルンふくしま、という施設でも学ぶことができますので、是非一度、足を運んでいただければと思います。

まとめ

今回は、特定廃棄物埋立処分施設のうち、特に旧フクシマエコテッククリーンセンターにおける廃棄物の埋立方法や、浸出水の処理方法について解説しました。

また、最後に、特定廃棄物の埋立処分事業に関して、情報発信の拠点となっているリプルンふくしまについて簡単に紹介しました。

ちなみに、以上とほぼ同じ内容を動画にもまとめてみましたので、よろしければご覧ください。

日本語版

英語版

本記事の英語版はこちらからご覧いただけます。

今回は以上となります。

ご覧いただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました